コストをかけずに技術情報を守ることができる特許



 

特許はお金がかかるという理由で特許出願を避けることがあります.

確かに特許に要する費用は安くはありません.

 

何のために特許を取得するのか

技術情報を守るための特許であるならば特許は決して高くはありません.

技術情報を守るためには、特許を出願して特許権を取得する方法と、秘密ノウハウとして管理する方法があります.

どちらも一長一短で、企業の方針によって取り得る方法が異なります.

もしコストをかけたくないという理由でノウハウを選択するなら、その選択は本当に正しいのでしょうか.

 

特許費用 vs ノウハウ費用

特許のために要する費用はわかりやすいため、コストがかかるようにみえます.

ノウハウに要する費用は曖昧なので、コストがかからないようにみえます.

 

しかし技術情報を守るという目的ならば、特許を出願した方が低コストで確実です。

なぜなら技術情報をノウハウとして守るための秘密管理が簡単にできないからです.

 

技術情報を管理できない理由

終身雇用が崩壊した日本では、これから人材の移動も多くなります.

諸外国と同じようにスキルアップを理由に短期間に転職を繰り返すことになります.

労使間のトラブルや職場のハラスメントを理由に転職する人も増えます.

終身雇用が崩壊すれば会社に対する忠誠心を醸成することが難しく情報漏洩に繋がりやすくなります.

リモートワークが普及すると情報漏洩も起こりやすくなります.

退職後の守秘義務条項が当然に盛り込まれていますが、残念ながら情報漏洩の抑止力にはなっていません.

情報はただという考えが未だに色濃く残っているので、知的財産を尊重するという考えが十分に浸透していません.

技術情報を紙で保管していた時代と違いデータという形で保管する現在の管理方法では、大量の情報が一瞬のうちに複製されてしまいます.

技術情報をデータ保管するサーバが日本にあるとは限りません.

日本以外の国にあるサーバからデータが流出した場合、それに対応することが難しく、さらにデータが流出したことすら気が付かないこともあります.

 

ノウハウ管理が確立されていない

技術情報を管理する場合はこれらのことを想定しておかなければなりません.

しかし技術情報を秘密ノウハウとして管理する方法自体が確立されていないため、これで十分という管理方法がありません.

秘密を維持していくために一体どれだけの費用を投入すれば良いのかが全く予測ができません.

 

特許を出願して技術情報を守る場合、特許出願の手続きが確立しているため、最終的に権利を取得して維持していくのに、どれだけの費用が必要かを予測することができます.

 

そして特許法を始めとする知的財産法は今や世界中の国々で整備されています.

特許法などの知的財産法を上手に利用すれば、秘密ノウハウよりも簡単確実かつ低コストで技術情報を守ることができます.

 

出願公開は18ヶ月後のこと

特許を出願して技術情報を守ることデメリットの1つに、技術情報が公開されてしまうことが挙げられます.

しかし技術情報が公開されるのは特許を出願してから18ヶ月後のことです.

競合他社が同じような目的で研究開発を行っている状況では、遅かれ早かれ類似の技術が競合他社によって開発されます.

技術のライフサイクルが短縮しているので、18ヶ月もの間、非公開であり続けるだけでも十分に競合他社に対して優位に市場開発や研究開発を進めることができます.

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