商品企画に必要な企画書を作り、それに基づいて商品・サービスの開発を進める.
システム開発に必要な仕様書を作り、それに基づいてシステムの開発を進める.
インターネットの普及により企画書や仕様書が簡単に外部に流出します.
企画書や仕様書の流出で問題なのは企画書や仕様書に書かれているアイデアが盗まれることです.
企画書や仕様書が流出して第三者に利用されたときに著作権はどれくらい役に立つのか.
「役に立たない」
これが答えです.
企画書や仕様書に書かれているのはアイデア
企画書や仕様書に何が書かれているのか.
書かれている内容は商品・サービスやシステムを開発するためのアイデアです.
著作権が保護するコンテンツは、アイデアを具現化した表現だけです.
企画書や仕様書に著作権があるとすれば、その権利は企画書や仕様書に書かれている表現を保護するための権利です.
その場合、企画書や仕様書をコピーすれば複製権の侵害となり、企画書や仕様書をネットにアップロードすれば公衆送信権の侵害になります.
著作権法はアイデア自体を保護することはできない.
その結果で、企画書や仕様書に書かれているアイデアが盗まれて、第三者がアイデアを具体化したとしても、それを阻止することはできないのです.
アイデアと表現の違い
企画書や仕様書をつくるとき、まず商品・サービスやシステムのアイデアを考えます.
そして、そのアイデアを表現します.
著作権で守ることができるのはアイデアの表現です.
アイデアと表現ははっきり区別できるときもあれば、どこまでがアイデアでどこからが表現なのか曖昧なときもあります.
アイデアと表現が一致することもあります.
短い表現はアイデアなのか表現なのか区別がつかなくなります.
「気をつけよう、雨の日・週末、事故多し」という交通標語は、なんとなく著作物かもしれない気がします。この標語に込められたメッセージは「雨の日・週末は事故が多いから、気をつけよう」ということです。これはアイデアでしょう。
福井健策著「改訂版 著作権とは何か」PP. 40-41」
創作性がある表現とは
アイデアの表現が創作的でなければなりません.
アイデアを表現しようとすると誰がやっても同じような表現になる.
このような表現は創作性がありません.
企画書や仕様書というのはアイデアを正確に伝えるためのものです.
正確に伝えるための表現であるためには、誤解を与えない表現だったり、誰が読んでも同じように解釈される表現です.
そのような機能をもたせるための表現は限られていて、結局、誰が書いても同じような表現になりません.
アイデアを守りたいなら特許
企画書や仕様書に書かれた「アイデア」を確実に保護したいなら特許に頼るしかありません.
上流のアイデアを保護する特許は、そのアイデアがどのように表現されていても保護されます.
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