日本の技術力では中国で特許が取得できない時代になりつつある

従来技術に比べてどの程度の創作性があれば特許を認めるかはその国の産業政策に依存します.

その国の技術レベルが低いにもかかわらず高い創作性を求めると、その国の特許は技術レベルの高い外国企業に占められてしまいます.

一方、通常の創作活動で行われる程度の低い創作性に対して特許を与えてしまうと、特許権が乱立し通常の創作活動に支障をきたします.

 

現在の日本の技術レベルは高く、創作性を高くしても外国企業に特許を独占されてしまうようなことはありません.

外国で特許になっても日本で特許にならない理由の一つは日本の技術レベルが高く、そして特許を与えるための創作性のレベルも高いからです.

 

中国の技術力

現在の中国の科学技術の進歩が著しいことは周知の通りです.

模倣品大国という印象が技術力を過小に評価させています.

しかし先端技術においてはすでに日本を凌駕しています.

2021年9月に発表された知的財産権強国建設概要はこれからの中国が先端技術について独走する未来像を描いています.


 

前回の概要が発表された2008年の中国は、日本と比べればまだまだ技術レベルに差があるることは明確でした。

日本と中国とで特許を得るために要求される創作性のレベルに違いがあるため、日本では特許にならないような発明が中国では特許になってしまうことも少なくありませんでした.

 

当時の中国の特許政策は質より量を目指していた時代です.

前回の概要が発表された後の2013年当時の国家知的財産戦略では、特許保有件数を2013年の4件/万人から2015年に6件/万人へ、そして2020年には14件/万人とする計画を発表しました.

 

この目標を達成するためには特許出願件数を促進させるような税制優遇などの政策に加え、特許を与えるための創作性のレベルをコントルールする必要があります.

こうした努力が実り2016年4月末時点で中国の特許保有件数は159万4000件を達成しています.


 

政策目標を達成するまでは特許を与えるための創作性のレベルを低く維持していました.

日本で特許にならないような発明が中国で特許になるという時代でした.

 

量より質への転換

最新の概要は、件数よりも品質へ転換することを示しています.

高価値発明と言われる特定の技術分野の保有件数を、6.3件/万人(2020年実績)から2025年までに12件/万人を目指す政策目標を掲げています.

 

中国が注目している、ビッグデータ、AI、遺伝子工学の技術分野を初め、量子情報、集積回路、ソフトウェアなどの分野の研究費を毎年7%増やして目標達成に挑みます.

 

日本では特許になっても中国では特許が取得できない.

これがこれからの中国です.

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