中国語商標の作り方


 

中国に進出する企業は自国名のブランドとは別に中国用に漢字を使ったブランドを用意しています.

 

麦当劳 マクドナルド
星巴克 スターバックス
飞利浦 フィリップス
肯德基 ケンタッキー
优衣库 ユニクロ

 

アルファベットのブランド名やカタカナのブランド名を、中国用にローカライズした漢字のブランド名に代えています.

 

豊田 トヨタ

三菱 

樫尾 カシオ

漢字のブランド名を持っている場合なら、そのまま中国で使うこともできます.

しかし漢字のブランド名をそのまま使うことが良いのか?

そんなヒントを与えてくれるのが、衣料品ブランドの「しまむら」です.

 

「しまむら」に学ぶ中国商標の作り方

「しまむら」は創業者の島村恒俊氏の性から取ったブランドです.

中国へ進出する際に用意する漢字名も、島村で良かったはずです.

ところが「しまむら」は島村を使いませんでした.

「飾夢楽」

これが中国で使う漢字のブランド名です.

 

よく考えられた漢字

「飾夢楽」が良く考えられていると思われる点を3つ紹介します.

1つ目が、shi・ma・mu・raの呼び方になるように漢字を選んだことです.

中国は日本と同じ漢字でも呼び方が全く異なります.

 

「島村」のピンインはdao cunなので、shi・ma・mu・raとは発音しません.

「飾夢楽」のピンインは、shi meng le.

shi・ma・mu・raの発音に近づける漢字を選択しています.

 

多くの日本企業が、日本で使っている漢字をそのまま中国で使います.

このため、似ても似つかぬ発音に戸惑っているところが少なくありません.

 

2つ目が3文字の漢字にしたことです.

shi・ma・mu・raのそれぞれに漢字を当てはめれば4文字の漢字です.

そこを敢えて三文字にしています.

 

現在、中国のブランド名は三文字の漢字が主流です.

最初に紹介した世界的なブランドも全て三文字の漢字です.

三文字にすることにより、呼びやすい、覚えやすい、見た目のバランスがいいという効果があります.

 

3つ目が漢字の選定です.

衣料品ブランドならではの特徴があります.

 

コーディネートの「飾」.

あの服を着たい、この服を着たいという夢や希望「夢」.

洋服を買うときの楽しみ「楽」.

 

「飾夢楽」を見ただけでワクワク感が醸成されます.

 

3つの工夫が盛り込まれた「飾夢楽」ブランド.

実は漢字三文字は中国でも非常に人気で商標を登録することも簡単ではありません.

そんな商標激戦国の中国において、「飾夢楽」は、夢や楽など、観念が良い漢字を2つも使っていながら商標も登録に成功しています.

 

漢字とひらがな・カタカナの組み合わせ

日本と同じように中国でも漢字を選ぶ基準は同じです.

漢字が表現する意味合いがよく、漢字自体のバランスがよく、覚えやすいこと.

 

そのような嗜好で選ばれた漢字3文字の商標はすでに中国で登録されています.

さらに文字数を多くした漢字商標を選択せざるを得ません.

 

文字数を多くすると覚えやすさやバランスが損なわれるので、文字数を多くする代わりに文字と図形を組み合わる方法があります.

 

中国ではひらながやカタカナが文字ではなく図形として扱われます.

これを利用して、漢字とひらがなやカタカナを組み合わせるという方法があります.

 

「superdry極度乾燥(しなさい)」に学ぶ中国商標の作り方

「superdry極度乾燥(しなさい)」という、イギリスのファッションブランドが使っているネーミングを紹介します.

 

漢字とアルファベットからなる文字商標に中国では図形として扱われるひらがなを組み合わせています.

 

日本人では思いつかないネーミングです.

漢字に興味がある欧米人、日本語に興味がある中国人に受け入れられやすいことを狙っています.

 

漢字2文字や3文字に比べれば文字数が多くなりますが、文字数が増えても覚えやすさやバランスは損なわれていません.

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