商品・サービスに制約される商標登録出願をするなら著作権登録をしておくことも商標トラブル対策の一つです.
商標制度が招いたトラブル
商標制度の間隙を突かれたトラブルが中国で発生しました.
商標制度は商品・サービスごとに独占権を付与します.
全ての商品・サービスについて独占権を得たいと考えるなら、全ての商品・サービスに対して商標登録出願を行わなければなりません.
一部の商品・サービスについて商標権を取得したというだけでは、他の商品・サービスについて第三者の無断使用や第三者の商標登録を防ぐことができません.
中国で発生した商標トラブルは、商標権を取得していなかった商品・サービスの商標権を競合他社に登録された挙げ句、その商標権の存在を理由に侵害訴訟を提起され敗訴したという内容です.
全ての商品・サービスについて商標権を取得しておけば良いのですが、全ての商品・サービスについて商標権を取得し維持していくには膨大な費用が発生します.
複数の国で同じような商標の取得の仕方をするとすれば、その費用は計り知れません.
商標ではなくて著作権登録をすすめる理由
著作権制度は、商品・サービスごとに権利を発生させるという商標のような制度ではありません.
他人の商標権が成立した場合でも自分の著作権が有効に機能します.
第三者に商標権を登録されてしまった場合でも、第三者の商標登録出願前に著作権の存在を立証できれば第三者の商標権に対して異議または無効を請求することができます。
中国でも著作権と商標権の関係について、商標登録出願前に他人の著作権を侵害してはならないと規定しています(中国商標法第32条).
著作権は創作と同時に発生し、登録手続きは不要な権利です.
ただし、異議または無効を請求する場合や訴訟で先著作権の存在を主張する場合は、著作権が登録されていることが証拠の証明力を高めるために有効です.
中国における訴訟で証明力がある証拠を揃えるのは簡単ではありません.
例えば、中国で著作権に係る訴訟を提起する場合は、創作者や創作日などの事実関係を証明する資料を証拠として提出します.
高い証明力を持っている証拠であるためには次のような証拠でなければなりません.
国の機関、社会団体が職権により作成した公文書証であること.
公証・登記を経た書証であること.
訴訟において著作権登記証明書を提出すれば高い証明力がある証拠として採用されます.
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