技術情報の海外流出に常に加担しているのが弁理士である

技術情報の扱いについて規定している法律と言えば不正競争防止法が一般的なのだが、安全保障の観点から技術情報の流出を規制する外為法がある。

聞いたことがある人も多い法律だが、多くの人はモノの輸出を規制するだけと思っているのでは無いだろうか。

実は、外為法の規制はモノだけではなく、情報も規制の対象となっており、モノは輸出貿易管理令、情報は外国為替令という政令レベルで規制している。

モノの流出は通関で規制しやすいのに対して情報の流出は必ずしも通関が必要なくネットを介していとも簡単に流出してしまうこともあり、情報の扱いに対して無頓着になるのは著作物のコピペと同じようなもの。

情報の流出に常に関わっているのが実は弁理士なのである。

外国で特許を取得するために技術情報を出願という方法で流出させているのだから本来であれば安全保障貿易により制限されるのが原則である。

原則というからには例外が存在するのが法律。

実は、特許を出願することを目的とする場合は許可不要で技術を流出させることができるという運用が行われている。

この例外規定が適用されるためには、全ての技術情報が対象ではなく、特許を出願するために必要最小限であることが必要である。

法律において例外規定は厳格に解釈されるのが常であるならば、必要最小限の技術情報についてはもっとシビアになってもいいはずなのだが、監督官庁である経済産業省から、外国特許出願をする場合の運用の厳格化などいう行政指導があったことは一度もない。

実は特許実務では、この必要最小限どころか過剰なほどに情報を提供している。

特許の審査をクリアするためには、審査で提示された先行技術との差別化を行うことがあるのだが、この差別化のための補正を後から情報を追加して行うことができなくなったのが一つの理由である。

審査で何を指摘されるかわからないから、そのときに備えてあらゆる情報を事前に提供しておくという実務が必要最小限の情報提供という例外規定を反故にしているのである。

さらに外国特許出願では先行する国内出願に加えて詳細情報を付加することが実務であり、つまりは国内特許出願では提供されていない技術情報が外国特許出願において提供されるという内外国不平等が起こっているのである。

ただし日本でもようやく欧米なみに秘密特許制度が整備されるようなので、今後は特許出願の扱いについても何らかの規制が入る可能性が十分にあるし、逆に日本だけが特許出願に乗じて自由に機微情報を海外に流出するといったことは防がなければならない。

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